下痢

便秘も下痢もどちらも大腸に負担をかけます。腸内環境がアレルギー疾患の発症と関係しているなど科学的に研究が進み、腸と脳の関係も注目されています。下痢は長く続くと当然のことながら日常生活に支障を招きます。鍼灸治療で腸活してみませんか。



下痢とは?

下痢とは、便の水分が多すぎる状態のことです。水分の割合は、普通便が70~80%に対して、軟便80~90%、水様便90%以上です。下痢のタイプは、4つに分類されます。


①腸からの水分吸収が妨げられる 「浸透圧性下痢」
人工甘味料の摂りすぎや乳糖不耐症の下痢でみられます。

②腸からの水分分泌量が増える 「分泌性下痢」
細菌による毒素やホルモンの影響で起こります。

③腸の通過時間が短くなる 「蠕動運動性下痢」
過敏性腸症候群やバセドウ病が代表的です。ストレスによる「過敏性腸症候群」は慢性の下痢の大半を占め、人口の1割以上がかかっていると言われています。

④炎症により浸出液が増える 「浸出性下痢」
クローン病や潰瘍性大腸炎などでみられます。



 このような症状の方は要注意

経験したことが無いような激しい下痢
高熱やひどい腹痛を伴う下痢
下痢以外に吐気や嘔吐などがある
排便後にも腹痛が続く
同じものを食べた人も同時に下痢になった
症状が悪化している。または改善しない。
血液が混じる下痢
尿が少ない、のどが渇くなどの脱水症状がある

こちらの症状に当てはまる方々は詳細な検査が必要な場合があります。医療機関にお問い合わせの上、病院を受診してください。



中医学で考える下痢

 

下痢は、「湿(しつ)」と「脾(ひ)の運化作用」の低下が原因で引き起こされると考えます。
脾の運化作用とは、食べたものを消化吸収し栄養を全身に行き渡らせる働きのことで、その機能が障害されると消化吸収できず、未消化のまま下痢します。
特に湿は、脾の働きを低下させやすく(「脾悪湿」:『素問』宣明五気篇)、元々胃腸が弱いタイプや、暴飲暴食などで消化器に負担をかけると、脾胃が飲食物をさばけず、腸内に湿濁を生み下痢を引き起こします。

梅雨時期や夏は外気の湿度が高く、影響を受けやすくなります。
最近では、夏場の冷房や冷たい飲み物の多飲で、身体の冷えと外気の湿気と組み合わさって胃腸の働きが悪くなるタイプが増えています。



下痢の鍼灸治療

治療の基本は、脾の働きを助けることと、「湿」を体内から取り除くことです。消化機能を整える代表的な足三里(あしさんり)のツボやお腹のツボに鍼やお灸をしていきます。特に、胃腸機能が弱い人や冷え症、明け方に下痢するタイプの人は、下腹部やお臍にお灸をじっくりし、温めることで脾が働きやすくなり下痢の改善と予防の両方が可能になります。

便秘や下痢など消化器症状がある人は、お臍まわりが硬かったり、冷たかったり、下腹部に力がなかったりします。鍼灸治療を続けると柔らかく温かい良いお腹になってきます。また、ストレスの影響を受けやすいタイプや食生活の乱れで起こるタイプなど、それぞれの体質に合わせて鍼灸治療を行います。



タイプ別鍼灸治療

外邪(がいじゃ)
気候の変動などにより、体内に湿・寒(かん)・熱(ねつ)などが侵入し風邪症状とともに表れるタイプ。
寒湿(かんしつ)は冷たい性質の湿のことで、軟便、お腹の張り、悪寒発熱、節々の痛みなど。湿熱(しつねつ)は熱い性質の湿のことで、しぶり腹、便の色が黄褐色で臭い、肛門に灼熱感、口渇など。
おすすめのツボ:天枢(てんすう)、陰陵泉(いんりょうせん)

胃腸(しょくたい)
脂っこいものや甘いものの食べ過ぎなど食生活の乱れで起こるタイプ。
腹痛、腹鳴、腐卵臭の未消化物、酸腐臭のゲップ、食欲不振など。
おすすめのツボ:中脘(ちゅうかん)、上巨虚(じょうこきょ)

肝脾不和(かんぴふわ)
ストレスや精神的緊張で腹痛や下痢が起こるタイプ。
過敏性腸症候群では便秘と下痢を繰り返す場合もあります。
胸や脇の張り、ゲップ、ため息をよくつくなど。
おすすめのツボ:行間(こうかん)、足三里(あしさんり)

脾胃気虚(ひいききょ)
疲労がたまっていたり、元々胃腸が弱いタイプ。
軟便や水様便であることが多く、未消化物が混じる時もある。わずかでも脂っこいものを食べると下痢をする、普段から食欲がない、お腹の張りがあるなど。
おすすめのツボ:脾兪(ひゆ)足三里(あしさんり)

腎陽虚衰(じんようきょすい)
慢性病による体力消耗や加齢でみられます。
明け方に下痢する、寒がり、腰や膝がだるい、眩暈、耳鳴りなど。
おすすめのツボ:腎兪(じんゆ)関元(かんげん)



 暮らしのアドバイス

暴飲暴食、生ものや冷たいものを避けましょう。 朝食は「温かく消化の良い物」、昼食は「栄養価の高い物」、夕食は「少な目(胃腸の負担を減らす)」を意識しましょう。
ハトムギ茶など胃腸の働きを助けるお茶がおすすめです。
身体を冷やさないように気をつけましょう
身体を動かしましょう
おしゃべりや趣味を楽しんで、ストレスを発散しましょう